同人サークルライフハックログラーズ

生きづらさを抱える人の生活工夫の知恵とツール紹介

1:押しかけられて、もうどうにでもなーれ

1:押しかけられて、もうどうにでもなーれ

「はい。契約完了。ふーん。なるほど。どう戦ったらいいのかがわからない、か。そうね。じゃ、私の身の上話をしましょうか? はい、ここに座って」
 ポンポンと自分の太ももを叩いて座るように促すジャンヌさん。
 全力でNO! そういうことしたら、男としてのプライドとか全部だめだめになりそうな気がする。
激しく顔を左右にぶんぶんと振って、断る。
「座りなさい。お姉さんのいうことは絶対よ? ね。ここは、私のプライドを守ると思って、お願い」
 ね? と両手を合わせてお願いするジャンヌさん。
「わかりました。今回だけですよ? えーと、ジャンヌさん」
「ふふ。ありがとう。私の事をママって呼んでもいいのよ? これでも二児の母だったから。さっおいで、いっぱい。いい子いい子してあげるから」
 この人、完全にお母さんモードに入っている。こういう時は無駄に抵抗しても無駄なのだ。
「はい。捕まえた。ふふ、あなたって体重軽いのね」
 優しく後ろから抱きしめて、耳元で囁く。カーッと体が火照り。嬉しいやら、恥ずかしいやら。なんというか色々と甘々にとろけそうな。温かくて柔らかいものが二つ。ふたつ?
「あ。あの。鎧はどうしたのですか?」
「ん? ああ。あれ? あなたの記憶を読み取って、グレーのセーターに変えてみたのよ。それとも」
 ジャンヌさんは、耳元に唇を近づけて囁いた。
「私のおっぱい。触ってみたい・・・?」
 頭を髪をとかすように優しくなでられ、耳からは甘く蕩かす。魔の美声。
 それは、いくつもの船を沈めたセイレーンの様な声。
 私は、口を金魚の様にパクパクして硬直していた。
(この人。見かけによらず、メガッサアグレシッブに攻め立てている!?)
「脱線したわね。ふふ。ごめんなさい。こういうことをしたくなるのは、あなただけよ。どこから話そうか。
そうね。イングランドとフランスの100年戦争は知っているかしら?」
「確か、フランスの聖女。ジャンヌ・ダルクが活躍していた時代ですよね?」
 サラッと、知っている範囲での歴史知識を話した。
「ええ。この戦争のきっかけは、フィリッパ・オブ・エノー夫妻が引き起こし。私がフランス全土を相手に、イングランド―現在でいえば、イギリスに寝返って、戦った。そして、ジャンヌ・ダルクが活躍した。私は、元は裕福な所出身で、誠実な騎士だった夫と二人の息子で過ごしていたわ。でも、あの時代で、夫がスパイの濡れ衣で、国王に処刑され。帰ってきたのは首だけだったわ。だから、私は、2人の息子を連れて、屋敷もあの人がくれた指輪も。売れるもの売って。夫を殺したフランスという国を相手に戦ったわ」
「ジャンヌさん」
 あの時代。中世のヨーロッパは、女性の地位が低く。男尊女卑が多く。王であっても。妃よりも愛人をという時代だった。
そして、戦争状態が起きやすく。王様であっても身内の兵が敵国と内通して裏切るのではないのか?と疑心暗鬼に陥ってしまうのが人なのだ。
「少し、残酷なことを話すわね。私は、復讐に燃えるあまりに、貴族や民衆の区別もせず。すべてが敵と思って、殺してきたわ。酷い、女でしょう? 世界でたった一人愛した人の敵を取りたいがために、イングランドの王と寝たり。そのことを知って、子供たちにも咎められたりもしたわ。「ここまで、したら、お父さんは喜ばない」って・・・。そうね。心のどこかでわかっていたわ。そのことに気づいたのが、最後の戦いの時ね」
「ジャンヌ、さん」
 彼女の手をそっと握り。そこまで、その人の事を深く。とても深く。言葉にできないくらいの愛を死別した旦那さんに向けていたことを私は、否定しない。
「……ありがとう。優しいのね。続けるわ。私はイングランドの国王からもらった船で、慣れない海で
戦って、フランス側の輸送に打撃を与えたわ。でも、フランス側も本気なって私を捕らえようとして、多勢に無勢。慣れない海での戦いで、敗北。隙を見て、息子と脱走して、海に漂流したわ」
 彼女は悔やむように、いった。
「でも、後悔したわ。生き残ったのは、私。親より先に子が死ぬは、一番嫌だもの。そのとき、衰弱死した息子が最後にくれたのは、「私が売ったあの人からもらった指輪よ」――見た時に、思ったのよ」
 ぎゅっとジャンヌさんは優しく抱きしめて、遠い、遠い夢を思い出したように、語る。
「私は、愛する夫と二人の子供が争いもなく。ささやかな日々中で、歴史に残るような偉人になるよりも。
平凡な家庭をもったまま。あの人とおじいじゃん、おばあちゃんになりたかった―って」
 抱きしめる力は強く。長い髪が、肩にかかる。
 そんなささやかな願いも。平穏な日常も。人の悪意と疑心暗鬼によって、奪われてしまうのだ。
「えっと、ジャンヌさん。その、甘えていいです、か?」
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  1. 2016/12/04(日) 20:58:04|
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